ユニバサールフィールド・コンシェルジュ養成講座第3回目を実施
ー山岳観光資源を活用したユニバーサルツーリズムの実現に向けてー
平成30年11月16日、松本キャンパス中央図書館セミナー室にて、ユニバーサルフィールド・コンシェルジュ養成講座第3回目を実施しました。
今回の講座は、2部構成となっており、午前中は『山岳観光資源を活用したユニバーサルツーリズムの実現に向けて』と題して、各受講者の地域の観光資源を活用した魅力的なユニバーサルフィールドツアーもしくは、イベント(以下、ツアー/イベント)についてのプレゼンテーションと相互評価を行いました。
また午後は、一般聴講者も募集をし、『日本のユニバーサルツーリズムを変える!世界を知る各分野の専門家、最前線の挑戦』と題して講演会を行いました。
ー第1部ー
受講生は、今回のプレゼンテーションに向けて各々、車いす利用者とその家族の参加を想定したユニバーサルフィールドを活用したツアー/イベントについて、グリンシーズンとウインターシーズンの計2つのコースを造成しました。
その際には、地域の魅力や資源を最大限に活用することはもちろんですが、実現可能なものとするために、
①魅力的なツアー/イベント名
②ツアー/イベント概要
③行程表
④料金
⑤バリアインフォーメーション
の5つの要素を取り入れることを課題としています。
⑤のバリアインフォメーションとは、そのフィールドを利用する際に、それぞれの利用者が知っておきたい情報のことを言います。例えば、どのようなトイレが用意されているのか、どのくらいの段差やスペースがあるのか、またハードルがある場合、どのような人の手(サービス含む)や専用の機材が用意されているのかといった情報です。
施設の改修や人材の配置には費用や時間がかかることがあります。また、全ての人が問題なく利用できる施設や自然環境を用意することは簡単なことではありません。
バリアインフォメーションを開示することは、その空間やツアーの利用を考える方に、利用可能かどうか検討いただく、または、どのようなモノ・コトを追加すれば利用可能となるのか検討いただくきっかけになると考えています。
講座当日は、一人3分の持ち時間で発表し、各発表後に造成したツアーについて魅力となる点および改善点について、相互に評価を行いました。
各受講者のツアーは、前回のフィールド実習で体験したHippocampeの使用を想定したユニバーサルフィールドでのアクティビティや、ご当地ならではの観光資源を活用した発表となりました。
ー第2部ー
午後からは、ユニバーサルツーリズムに関心のある近隣住民の方や教育学部附属中学校の生徒さんが授業の一貫として一般聴講頂き、日本のユニバーサルツーリズムを先導してきた5名の講師を招き講演頂きました。
一般社団法人ata Alliance
代表理事 中岡亜希氏
『大自然はバリアフル!だから楽しい』
子どもたちからの『やりたいの?やりたくないの?』という言葉をきっかけに、様々なアウトドアアクティビティーに挑戦されたご経験や、一社)ata Alliance立ち上げの想いなどをお話しいただきました。また、海外でのユニバーサルツーリズムに関連する調査を実施されてきたご経験から、海外と日本のユニバーサルツーリズムの捉え方の違いについてもご講演いただきました。
日本航空株式会社
国内路線事業部企画グループアシスタントマネージャー 古川兼嗣氏
『日本航空のこれからとユニバーサルツアーへの思い』
古川氏からは、航空会社の視点からユニバーサルツーリズムについて取組み事例や、実際に催行された北海道での車いすユーザーを対象としたスキーツアーのご報告から、ユニバーサルツアーへの思いについてご講演いただきました。
商品・サービス企画本部業務部マネージャー 三島良平氏
『日本航空アクセシビリティ向上の取り組み』
三島氏からは、高齢者や障害のある人を含めた様々な状態の人それぞれが、空港サービスを利用可能となるために、具体的な事例や設備の写真を踏まえ、空港業務の顧客満足度向上の取り組みについてご講演いただきました。
クラブツーリズム株式会社
伴流高志氏
『国内ユニバーサルツーリズムの課題UT旅行商品化に必要な基礎知識』
伴流氏からは、国内における障がい者ツアー等の企画・販売をいち早く採用し、実践されている企業として、旅をデザインする視点や、利用者への細かな配慮など、貴重な体験談やそのノウハウについてご講演いただきました。
株式会社finetrack
高木道朗氏
『自然の楽しみ方。装備と危機管理』
高木氏からは、ご自身のご経験を踏まえ、四季折々の自然の中での活動内容をご紹介をいただきました。また、安全・安心に活動を行うために、正しい装備や天候等に対する知識、的確な判断力が必要であり、どのように危険を回避するかについて、いくつかの事例紹介をもとにご講演いただきました。
5名の講師からのお話は、バリアフリー環境の整備が困難な山岳観光資源を、人の手や着想(アイディア)を用いて誰もが利用可能となるツアーの造成や、コーディネート業務を行おうとする受講生にとって、大変貴重な視点を得るものとなりました。
次回は、今回の講座内容を踏まえ、さらに完成度を高めたツアー/イベントについて、商品として実現可能かを確認するビジネスコンテストを実施します。
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